“共感できる”は毒にもなる──だから私はあえてズレて話す

作成 2025年4月30日 （2025年7月17日更新）

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「わかるよ、その気持ち」「私も同じ経験ある」

こんなふうに言ってもらえると、ほっとしますよね。

つらいとき、苦しいとき、自分の気持ちをわかってくれる人がいると、それだけで救われる気がします。

でも、共感がつらさを“深くする”こともあると、私は思うのです。

共感しすぎると、抜け出せなくなる

誰かがつらい気持ちを話してくれたとき、「わかる」と言って一緒にその感情に浸る。

それは確かに、安心を生む行為です。

けれど、お互いがどんどんその気持ちにハマってしまって、苦しさから抜け出せなくなることもあります。

たとえば、「仕事が本当にきつい」と言われたときに、「私も毎日つらいよ」と返したら、一瞬は共感できても、気持ちがさらに沈んでしまう。

それは、「一緒に沈む共感」です。

私はあえてズレたことを言うようにした

あるときから、私はあえて「少しズレた」ことを返すようにしました。

相手の気持ちを否定せずに、でも同じ場所には沈まない。

たとえば、こうです。

「仕事きついんだ」
「それは大変だね。でも昨日のパン屋さんの話、聞いてくれる？」

「え、今それ？」と思われるかもしれません。でも、その“ズレ”が大事なんです。

気持ちを切り替えるきっかけになったり、視点を変えるヒントになったりすることがあります。

寄り添うって、同じ場所に立つことじゃない

本当に人に寄り添うって、「同じ場所に沈む」ことじゃないと思うんです。

足元がしっかりしているからこそ、落ちそうになっている人に手を伸ばせる。

自分も同じ深みに入ってしまったら、一緒に溺れてしまうだけです。

だから私は、少しズレたところから、手を差し伸べる。

それが結果的に、相手を少し楽にさせることもあると気づきました。

共感が“正解”とは限らない

共感はとても大切な力です。でも、それが“正義”になってしまうと、苦しくなることもある。

「ちゃんと共感しなきゃ」「わかってあげなきゃ」

そんなふうに自分を追い込んでしまう人もいます。

だからこそ、時には共感から少しだけ距離を取ってみてください。

それは冷たいことじゃありません。むしろ、相手を思っての“選択”です。

最後に：ズレているからこそ見える景色がある

人はそれぞれ違う場所に立っています。

だからこそ、ほんの少しズレた視点から見ることで、相手にとって新しい気づきが生まれることがあります。

「共感できないこと」を恐れなくていい。

時にはズレて話すことが、いちばんの優しさになることもあるのです。